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アイスランドのアイダーダウン:1000年の歴史を誇るサスティナブル素材

羽毛布団のラベルやオンライン広告の商品説明では、アイスランドのアイダーダウンの持つ色彩豊かな歴史を物語ることは到底できません。

9世紀の入植以来、アイスランド人はアイダーダックと独自の関係を築いてきました。アイスランドのアイダーダウンは、北欧の入植者たちが厳しい冬を暖かく過ごすために利用したことから、現代ではアイスランドで最も貴重な天然資源のひとつであり、アイスランド共和国のアイデンティティともなっています。


アイダーダウンとは?

巣から集められたばかりのアイダーダウン

アイダーダウンは、アイダーダックが巣作りの際に排出する柔らかい羽毛の下層部です。軽さ、断熱性、温度調節、圧縮復元力など、そのユニークな特性から、世界で最高峰の寝具用天然素材のひとつとされています。

かつてヨーロッパの王侯貴族は、アイダーダウンの贅沢な寝具にあこがれたものでした。現在では、空調の整ったサウジアラビアの王子たちの寝室で使われています。

しかし、アイダーダウンは単なる富や名声の象徴ではありません。アイダーダウンは、その比類なき特徴と伝統的な農法により、世界最高品質の羽毛であると同時に、最も持続可能な素材であるというユニークな地位にあります。


人間と鴨の関係はユニークで象徴的

Ragna replacing straw in an eider duck's nest

共生とは:
物理的に密接に関連しながら生きる2つの異なる生物間の相互作用で、通常は両者に有利に働く。

アイスランドの農家は、何世紀にもわたって持続可能なアイダーダウンの栽培方法をとってきました。アイスランドの人里離れたフィヨルドでは、藁で巣を作り、外敵を防ぐためのネットを張ります。春にはカラフルな旗が風にはためき、アイダーガモの飛来を促します。アイダーガモは自らの意思でサンクチュアリ(保護地区)にやってくるのです。

4月から5月にかけて、鴨たちは保護区に自ら進んで卵を産みにやってきます。農家の人たちは、この鳥たちを外敵から守るために、常に外敵に目を光らせています。そして1ヵ月後、卵が孵化すると、アイダーガモは海岸に戻り、また10ヵ月間を海に浮かびながら餌を得て、卵を産む時期になるとやってくるのです。

通常、鴨は巣を後にする際に敷き詰めた羽毛も置いていきます。卵がかえり、子供が生まれれば羽毛は用済みとなります。放置すればその羽毛は飛ばされてしまうため、その前にアイスランドの人々は、その羽毛を丹念に回収するのです。そして、採取、洗浄、加工と、手間のかかる作業が始まります。アイスランド政府には、アイダーダウンの真贋や品質をチェックする公式の検査官がいるほど、この羽毛はアイスランド国内でも珍重されています。審査に合格すると、認定証が発行されるのです。このプロセスの詳細については、ちらの記事をご覧ください。

アイスランド語の「Skjól」(シェルター)は、人と鳥が互いに恩恵を受ける関係、つまり厳しい自然環境の中で暖かさ、快適さ、安全性を交換し合うことを表します。


アイダーダウンのアイスランド史

初期のヴァイキングの移民はアイダーダウンで毛布を満たし、中世の徴税人は、アイダーダウンを通貨として受け取ったこともありました。アイスランドでは千年以上にわたり、羽毛が産業の中核を担ってきました。1847年にはその重要性により、政府がこの鴨を保護種に指定したほど、アイダーダックはアイスランド人にとって貴重な鳥なのです。

アイダーダウンは実用的な天然資源であると同時に、ラグジュアリーとステイタスの象徴として、今日もその価値を保ち続けています。

年代出来事
874 年アイスランドに北欧人最初の入植者がやってくる。
890 ホロガランド(現在のノルウェー)のオッタルがウェセックスのアルフレッドに、サーミの部族が10袋のフーゲラ・フェーデルム(アイダーダウン)を貢いだことを古英語の『Orosius』で伝える。
1455 アイスランドのビヨルンがデンマークに航海し、クリスチャン1世にアイダーダウンを贈る。
1600 アイダーダウンがアイスランドの貴重な商品として世界中に広まる。
1847 アイスランド政府はアイダーダックを保護鳥に指定。この鳥の狩猟や殺害は違法とされる。
1900年代プロハンターの狩猟により、アイダーダウンは絶滅寸前にまで追い込まれる。
1900-2000 自然保護と持続可能な農業の実践により、アイスランドのアイダーダックの個体数が繁栄する。
2001 農家のオリとヨハンナがアイスランド東部のログムンダルフィヨルズルで、アイダーダックの保護区を設立。
2019 アイスランディック・ダウン社設立。

持続可能寝具の砦?

現代社会の便利な製品には、環境破壊や動物虐待といった暗い話題が隠れていることが多いものです。寝具業界も例外ではありません。以前にもご紹介したように、市場によく出回っている羽毛は、生きたまま羽を摘み取るような非倫理的な行為がよくあります(食肉産業の単なる副産物ということも)。シーツや寝具カバーに使われるコットンにしても、汚染や土壌劣化の原因となっています。

アイスランドにおいて、そのようなことはありません。よくある製品とは異なることに、私たちは誇りをもっています。というより、私たちは変わらず今までと同じでいいのです!アイダーダウンは、おそらく世界で唯一、持続可能で愛鳥精神に基づくダウンの供給源です。

アイスランド産のアイダーダウンはーーー

愛鳥精神に則った活動ー動物にやさしく、 鳥を傷つけることはありません。野生の鳥たちは、私たちの保護区に自発的に巣を作り、私たちは鳥たちが使わなくなった羽毛を回収するのみです。
・持続可能 - 農民とアイダーダックは、何世紀にもわたって相互に恩恵を受けながら共存してきました。実際、鳥の個体数は増え続けています。
・グリーン - 工業的な手法や汚染物質は一切使用していません。伝統的な農業と製造技術は、アイスランドの美しい自然環境の保護に役立っています。
・地産 - 私たちは地元の農家や製造業者と協力し、孤立しがちな地方のコミュニティの保全に貢献しています。

この記事はお楽しみいただけましたか?アイスランディック・ダウン社では、アイスランドで最も古い伝統のひとつである、アイダーダウンの製造に携わっていることを誇りとしています。ご質問等がある方は、ぜひ気軽にお問い合わせください