コモンアイダー： 驚異的な弾力性を持つ鳥

コモンアイダー。希少かつ贅沢な特性を持ち合わせるこの鳥の羽毛は、バイキングの入植者から世界の皇室やエリートまで、有史以来ずっと人々を魅了し続けてきました。

アイダーダックの学名であるSomateria Mollissimaは、「非常に柔らかいウールの体」という意味でもあります。

アイダーダックに魅了される理由は、そのダウン（羽毛）がベッドを暖めてくれることだけではありません。アイスランディック・ダウン社の商品はこのダウンに依存しており、私たちはこの驚くべき弾力性と知恵ある行動に感銘を受けてきました。

この記事は、この鳥とその魅力的な生活に敬意を表するものです。さて、あなたはアイダーダックについて何を新たに発見するでしょうか？

アイダーダックは10ヶ月間、北極海で漁をする

アイダーダックはアイスランド、スカンジナビア、カナダ、シベリアなどの北半球に生息しています。一年の大半を夫婦で過ごし、オスはメスのパートナーを、他のオスに取られないように守ります。アイダーダックは、小さなカタツムリ、アサリ、カニ、ヒトデ、ウニなど、さまざまな魚や無脊椎動物を食べます。20メートル近く潜ることができ、魚や甲殻類を丸ごと飲み込むこともあります！

水温が氷点に達する北極海で冬を越すための生命線は、保温性の高いダウンです。そして、営巣のために陸に戻ると、次世代を育てるために、命を守るためのにとびきり暖かな素材を巣に敷き詰めます。

コモンアイダーは、北半球における最も大きなカモ類で、カモ類というよりもペンギンやハクセキレイ、ウミウなどの海鳥との共通点が多くあります。空を飛ぶよりも水中に潜る方が得意です。面白いことに、海鳥のように特別な腺を持っていて、塩水を処理して飲むこともできるのです。

アイスランドの養護農家-ありそうでなかった共生の関係

アイダーダックの営巣地は岩の多い海岸線や沿岸の潟にあり、そこにはミンクやキツネ、カモメなどの天敵がいます。そこに人間の狩猟活動が加わり、19世紀には絶滅寸前まで数が減りました。

アイスランドでは、人間とアイダー・ダックの間に特別な関係が築かれています。アイダーダックの保護区を歩けば、アイダーダックをニワトリなどの家禽類よりも、飼いならされた猫と比較したくなるかもしれません。アイスランドの伝統的な農場を訪れると、その戸口の下や古タイヤの中、さらには屋根の上まで、毛皮でできた大きな巣が何十個も散らばっているのを目にすることがあります。アイダーダックは人間の存在に慣れていて、むしろそこが気に入っているように見えます。

アイダーダックと私たちの関係は、この地の開拓者たちが冬を乗り切るためにダウンを珍重した千年以上前にさかのぼります。現在では農家が特別な保護地区を設定し、鳥たちの営巣を促しています。ここでは保護者である農家の人たちが目を光らせ、アイダーダウンを捕食者から守ります。人間からも守られます。実際、アイスランドでは1847年からアイダーダックの狩猟は違法と定められています。以来、アイダーダウンの数は増え続けています。

アイダーダックは安全な場所の提供と引き換えに、巣を去る際に貴重なアイダーダウンを残していきます。これを農家が手作業で丹念に集め、アイダーダウンは加工・生産されるのです。現在、アイスランドは世界のアイダーダウンの約80％を生産しています。

母親は子供のためにすべてを犠牲にする

5月から6月にかけてアイダーが巣作りにやってくると、メスは3～6個の大きな卵を産み、1ヶ月間卵を抱き続けて孵化させます。自分の卵を孵化させるだけの健康状態や十分な脂肪がついていない場合は、他のメスの巣に卵を産みます。

母親は食事を一切せず90～95％の時間を巣の上で過ごします。その間に体重の三分の一を失います。

なんと自己犠牲の強い鳥でしょうか。暖かく保温性の高いダウンを卵に着せて、自分の命を危険にさらす姿を見ると、驚異としか言いようがありません。

母親のアイダーダックは、卵が孵化して数時間後には子ガモを連れて巣立ちます。手のひらに乗るほどの小さな子ガモは、小さなカニや甲殻類を食べるために海岸へ向かうのです。

ほとんどの場合、他のメスのカモが子ガモをグループにして、子供たちが自分で餌を取れるようになるまで指導します。私たちはこのメスたちを親しみを込めて「指導おばさん」と呼んでいて、大きなグループには100羽の子ガモの世話をしています。

子ガモが羽化（飛ぶための羽が生えること）すると、母親は彼らを残して海に出て行き、10ヶ月という長い時間を交尾、漁、そして生き残るために過ごします。

アイダーダックは生来の社会性と適応能力（特に人間の存在に対する適応能力）により、世界で最も過酷な環境を生き抜いてきました。

アイダーダックの未来やいかに？

一見恵まれているように見えますが、アイダーダックもアイスランドの伝統的なアイダーダウン保護も、乱獲、汚染、生息地の破壊により脅威にさらされています。この鳥は「準絶滅危惧種」に指定されており、ヨーロッパでは個体数が減少しています。気候変動と海水温の上昇により、繁殖範囲が大きく変化する可能性が危惧されています。

それでも私たちは、アイダーダックを保護する人間が介入することで、その個体数を安定させることができると信じています。アイスランディック・ダウン社では、毎年鳥たちが戻ってくる安全な避難場所を提供することに情熱を注いでいます。そして、アイスランドには、昔ながらのアイダーダックの保護養殖を続けている農家がまだたくさんあります。

この知恵のある素晴らしい海鳥と一緒に仕事ができることを、私たちは毎日とても幸せに感じています（時々、鳥が足元に来て転びそうになっても！）。

アイダーダック保護地区について興味のある方は、こちらの記事をお読みください。