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動物愛護の精神に則した、鳥に優しい羽毛ふとんが本当にあるのか?

羽毛布団に包まれて、いい気持ちで眠る人は少なくないことでしょう。それでも、そんな快適な睡眠をサポートしてくれる素材がどこからきているのかを考える人はあまりいないかもしれませんね(これを読んでくれている人は、その数少ないひとりなのでしょう)。

羽毛布団に使われているダウンは、ほとんどの場合、食肉産業の副産物です。屠殺されたガチョウ、アヒル、ニワトリは、各種産業用に処理される前にダウンとフェザーが採取されます。

道徳的には最悪とも言えますが、見方を変えれば酪農業の副産物として家畜の皮革を利用するように、鳥のあらゆる部分を無駄なく利用させてもらうという言い方もできることでしょう。

そんな中で明るみに出たのが、ライブプラッキングという残酷な行為です。ライブプラッキングとは、生きているうちに羽をむしり取ることを言います。これにより羽毛の生産量を3倍から4倍に増やすことができますが、動物たちには大きな苦痛を負わせます。

ライブプラッキングの問題は、世界で最も道徳的であるとされているブランドでさえも当てはまります。そんなブランドの中には、素材の仕入れを見直し、ライブプラッキングではないものを調達するようになったところもありますが、それでも問題はあります。調べてみれば、問い合わせを受けたダウンの卸業者のうち、半数がまだライブプラッキングをしていることが確認されたということです。

残念ながら、どの製品に倫理的な方法で採取されたグースダウンやダックダウンが使われているかを見極めるのは、とても難しいことです。ダウンの採取方法を透明にしたくない業者も多いことでしょう。小売業者にしても、流通経路の事実を誤解したり、曖昧にしたり、避けることが最大の利益となるのです。

というような話を読むと「動物に心を痛めることなく、安心して眠れる製品はないものだろうか」と考えてしまうかもしれません。

人造される合成ダウン

天然のダウンが持つ断熱性、通気性、柔らかさといった魔法のような特性を、化学は懸命に模倣しようとしてきました。しかし、ポリエステルなどの石油系プラスチックを原料とする合成ダウンは、科学の進歩によりある程度その特性が実現されたとはいえ、残念ながら天然の素材には劣るものしか作り得ていません。が、予算に限りある場合は、悪い選択ではないとは言えるでしょう。

合成ダウンの長所 

  • 手頃な価格 - 高品質なダウンに比べて安価。
  • 簡単に洗える - 縮んだり固まったりする心配がない。
  • 低刺激性 - アレルギー反応が起こりにくい。

合成ダウンの短所 

  • 環境によくない - 石油由来のプラスチックを使用。
  • 保温性が低い - 天然のダウンに比べて保温性がはるかに低い。
  • 通気性がない - 汗による熱や湿気を放出しない。
  • 耐久性に欠ける - ダウンに比べて寿命が短い。

植物由来の代替品 

ユーカリ、竹、木質繊維……近年、環境意識の高い人たちに人気のある植物由来の羽毛・布団の需要に応えるべく、バフィー(Buffy)のような企業が続々登場しています。

こういった製品に関する評判はまちまちで、満足しているお客様もいれば、通気性やフワフワ感が足りないという不満を持つお客様も。環境への配慮ということであれば、植物由来のものは少なくとも合成繊維よりも一歩進んでいると言えるでしょう。

植物由来の長所 

  • サステイナブル(持続可能) - より環境に優しい植物素材を使用している。
  • 洗濯可能 - 縮んだり固まったりする可能性が低い。

植物由来の短所

  • 保温性が低い - 天然のダウンよりも保温性が低い。
  • 通気性がない - 温度の自己調整ができない。
  • 入手性 - 市場に出回っている製品が少ない。

アイスランドのアイダーダウン 

Eiderdown in nest

すべてのダウンが前述のような方法で作られて(採取されて)いるわけではありません。アイスランド産のアイダーダウンは、持続可能で鳥に優しい方法を採用しています。実際、農家は鳥を天敵から守り、鴨が絶滅の危機に追い込まれないよう保護しています。

ここアイスランドでは、アイダーダウン農家が鳥たちのための特別保護地区を作り、そこで鴨は営巣し、羽化の季節が終わると羽毛を残して海へと去っていくのです。これはアイスランドの歴史そのもの、1,000年以上前から続いている伝統的な方法である上、その羽毛は世界に類のない断熱性、温度調節性、耐久性に優れていることから、最高峰のダウンとして世界中から注目される存在です。

唯一の難点といえば、アイダーダウンの価格でしょうか。この素材は非常に希少であり(年間5000~7000枚の羽毛布団を製造する程度のアイダーダウンしか採れません!)、またこの手法でダウンを得る手間もかかり、市場ではプレミアム価格で取引されます。この羽毛のふとんで最高の睡眠を手に入れることができるのは、本当にラッキーな人々です。

天然ダウンの長所

  • 動物にやさしい - 鳥を傷つけたり、自然の営みを邪魔することがない。
  • サステイナブル - 伝統的な手法により、環境への悪影響がない。
  • 断熱性 - 硬い軸のないダウンは暖かさのポケットを作る。
  • 温度調節機能 - 温度維持のため自ら収縮と膨張を繰り返す。
  • 耐久性 - 圧縮に強く、長い間その形状を維持する。

天然ダウンの短所 

  • 価格 - 希少性が高く手間もかかるため、価格が高くなる。
  • 入手性 - 本物のアイダーダウンを市場で見つけるのは難しい。

アイダーダウンの優れたところをもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。